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ワインに音楽を聞かせる音響熟成ワインって知ってる?魅力やメリット、おすすめワインも紹介
ワインに音楽を聞かせる、音響熟成をご存じでしょうか?
最近では音楽がワインに与える影響の研究が注目されており、音響熟成は近年では積極的に取り入れらている熟成方法です。
本記事では、音響熟成ワインについて解説します。音響熟成ワインの魅力やメリット、おすすめワインも紹介しているので、気になる方はぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
音響熟成ワインとは
「ワインに音楽を聞かせて熟成させると美味しくなる」と耳にしたことはありませんか?
音楽を聞かせて熟成したワインを″音響熟成ワイン”といいます。音響熟成は音楽が生み出す微振動を熟成中のワインに触れさせ、旨味を最大限に引き出す熟成方法です。
多くの生産者や研究者が音響熟成の可能性を確信しており、研究の結果「ワインが美味しくなった」という報告が数多く挙げられています。
実際に音楽を聞かせながらワインを熟成させる手法を取り入れるワイン生産者も増え、ワイン専門店やネットショッピングで音響熟成ワインを気軽に購入できるようになりました。
音響熟成は食品業界ではもはや常識!?
音響熟成をするのはワインだけではありません。食品業界では音響熟成が認知され始め、ワインのほかに焼酎やビール、味噌、バナナなどにも音楽を聞かせる熟成方法が導入されています。
味噌やビール、焼酎は納得できそうですが、バナナにまで音響熟成が使われているとは驚きですよね!
音響熟成は、とくに発酵食品に積極的に用いられています。音響熟成すると発酵促進されるほか、旨味が強くなり美味しくなるのです。
なぜワインに音楽を聞かせるの?
音響熟成をすると、なぜ音楽を聞かせると美味しくなるのでしょうか?
ワインは生き物ではないため、「音楽を聴いて機嫌がよくなる」とは考えられません。
ワインに音楽を聞かせると美味しくなるのは、短時間でも熟成したような旨味やコクが生まれるからです。音による振動が液体に伝わり、水分子とアルコール分子に影響を及ぼします。
分子は音の振動を与えると小さくなり、熟成後の状態に近くなるため熟成時間が短縮できるのです。
音響熟成を行えば、熟成期間が短くてもまろやかでコクのあるワインに仕上がります。
音響熟成ワインの魅力
音響熟成したワインは、まるで長時間熟成させたかのようにまろやかでコクのある味わいになります。アルコール感も和らぐため、飲みやすくなるのも魅力です。
本来ワインを熟成する場合、何年もワインを保管する場所や空調設備が必要になります。しかし、音響熟成を行えば、1~2週間で数年間熟成を行った状態のワインと同様になります。
熟成時間を短縮できればコストカットにもなるので、消費者にリーズナブルな価格で熟成段階に近いワインを提供できるのも音響熟成ワインの魅力です。
音楽を聞かせてワインを熟成させるメリット
ここでは、音楽を聞かせてワインを熟成させるメリットを紹介します。
音楽熟成をしたワインは、どのように味わいが変化し、美味しくなるのでしょうか?
発酵促進効果がある
音楽をワインに聞かせると、発酵促進効果があります。
音響熟成はまだわかっていないことも多く、発酵促進効果がある明確な理由は解明されていません。しかし、研究の結果「微生物の動きが活発になるから」だと考えられています。
ワインには、発酵するために必要な酵母菌や乳酸菌などの微生物が液中に含まれています。微生物が音の振動に反応し、発酵促進につながったという説が有力です。
熟成状態に近づき味わいがまろやかになる
音響熟成を行うと熟成が促進され、短時間でワインの味わいがまろやかになります。たった1~2週間音楽を聞かせるだけで、数年熟成したワインと類似した熟成状態になるというので驚きです。
熟成してまろやかな味わいになったワインは、渋みが穏やかで飲みやすくなります。渋みの強いワインが苦手な方は、音響熟成ワインを試してみてはいかがでしょうか。
バランスのとれた味わいに変化する
ワインは熟成すると化学組成が変化します。熟成するとワインの渋みが和らぎ果実味が豊かになるのは、化学組成が変化するからです。
若いワインは、ぶどうの本来の旨味が引き出されておらず硬質な印象ですが、熟成すると化学組成の変化により、旨味や風味が引き立ちバランスのよいワインに変化します。
音響熟成は熟成までの期間を短縮できるため、気軽に味わいのバランスが取れた熟成ワインを楽しめます。
音響熟成ワインの造り方
生産者にも消費者にもメリットがある音響熟成ワインは、どうやって造られているのでしょうか?
さまざまな方法がありますが音響熟成の効果は1~2週間程度で効果があるため、約2週間音楽を聞かせ振動を与えた後に貯蔵庫で落ち着かせてから出荷するワイナリーが多いようです。
また聞かせる音楽により振動が異なるため、驚くことに選曲によっても味わいが変化します。音響熟成をする場合は、生産者が近づけたい味わいを意識して音楽を選んでいます。
ワインを飲むときに音楽を聴くと美味しくなる!?
音楽がワインに与える影響は、熟成だけではありません。実は、ワインを飲むときに音楽を聴くと、よりいっそう美味しくなるという実験結果もあるようです。
実験では、オーケストラを聞きながらフルボディのワインを飲むと、音楽を聴いてないときに比べて芳醇な味わいに感じられたそうです。
音楽を聴きながらワインを飲むのはだれでも実践できるので、気になった方は試してみてはいかがでしょうか?
高音は白ワイン、低音は赤ワインが相性抜群です。
ソムリエ厳選!おすすめの音響熟成ワイン
音響熟成ワインは、熟成の旨味やコクを気軽に楽しめる魅力があります。
ここでは、ソムリエ厳選のおすすめ音響熟成ワインを紹介します。
モンテス・アルファ シャルドネ
『モンテス・アルファ シャルドネ』は、徹底的にこだわったワイン造りによりチリワインのパイオニアと名高いモンテスが手掛ける白ワインです。
ワインはグレゴリオ聖歌を聞かせて熟成させており、滑らかで濃厚な果実味が魅力的な白ワインに仕上がっています。
音響熟成のほかにも風水を取り入れたり、果汁にストレスを与えない圧搾法を取り入れたりと、ワインづくりのためなら労力を厭わず品質向上に努めています。
モンテス・アルファ シャルドネは、パイナップルやピーチを思わせるジューシーな果実味が魅力的です。バタートーストのようなリッチで香ばしいアロマも感じられ、長い余韻が楽しめます。
ドメーヌ・ド・コステ・ショード ロクターヴ
『ドメーヌ・ド・コステ・ショード ロクターヴ』は、熟成樽に音響装置を取り付けた状態で1年間熟成した白ワインです。
グルナッシュを主体にヴィオニエをブレンドした、果実味豊かでリッチな味わいが魅力です。
熟成ワインらしい洋なしや桃を思わせる濃密なアロマが感じられます。ふくよかな果実味にオレンジピールのようなほろ苦いアクセントがあり、バランスのよい味わいです。
濃厚な果実味と穏やかな酸が特徴的な飲みやすいワインなので、お酒初心者の方にもおすすめですよ。
葡萄交響曲作品201
長野県の信濃ワインでは“音楽とワインのいい関係”を研究テーマにワインを開発しており、『葡萄交響曲作品201』は貯蔵・熟成に至るまでクラシック音楽を聴かせて音響熟成しています。
味わいはやや甘口で、柔らかな果実味が魅力的。音響熟成による、バランスのよさと繊細な味わいが楽しめます。
柔らかく繊細な味わいは和食と合わせやすく、肉じゃがや筑前煮などのお醤油で煮込んだ料理と相性抜群です。
葡萄交響曲 作品503 ブラッククイーン
『葡萄交響曲 作品503 ブラッククイーン』は、信濃ワインが手掛ける濃厚な味わいが魅力の赤ワインです。
『葡萄交響曲作品201』と同様に、貯蔵・熟成の間にクラシック音楽を聞かせて音響熟成しています。
ワインに使用しているブラッククイーンはタンニンや酸が豊富なぶどう品種ですが、音響熟成により力強くも飲み口のよい滑らかなワインに仕上がっています。
熟成ワインらしい力強くも滑らかな味わいは、お肉料理と相性抜群です。和牛ステーキやローストビーフなどの華やかな肉料理とよく合うので、パーティーなどの特別な日にも重宝します。
宙地音 -Sorachine- ブレンド
『宙地音 -Sorachine- ブレンド』は、地下1,000mの貯蔵庫で音響熟成を行い仕立てたワインです。
ワインはマスカットベリーAとメルローをブレンドしており、果実味豊かな濃厚な味わいに仕上がっています。
音響熟成によりマスカットベリーAの豊かな酸が和らぎ、まろやかで口当たりの良い上品な味わいが楽しめます。旨味と酸のバランスがよく飲みやすいワインなので、贈り物にも人気です。
奥尻 メルロー 音響振動熟成
『奥尻 メルロー 音響振動熟成』は、北海道産のメルローを使用して仕立てられたミディアムボディの赤ワインです。
音のプロフェッシャルであるONKYOで開発された加振装置を使って、ワインタンクに直接モーツァルトの振動を与えて熟成しています。
モーツァルトの振動が加わったメルローは濃密で滑らかな味わいになり、早いうちから熟成感のあるリッチな味わいを楽しめます。
ワインの味わい自体も上品かつクラシカルなので、低温のクラシック音楽を聴きながらワインと音楽のペアリングを楽しむのも素敵ですね。
おわりに
まだメカニズムが解明されていないところがありながらも、多くの生産者が関心を持ち音響熟成を取り入れています。
また、「音楽を聴きながらワインを飲むと美味しく感じられる」というペアリング研究がされているというのも面白いですよね。
音楽とワインの関係性に興味を持った方は、音響熟成ワインを試したり音楽とワインのペアリングに挑戦してみたりしてみてはいかがでしょうか?