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シュトゥルムは秋の風物詩のワイン!味わいや魅力を徹底解説
8月~9月はワイナリーにとってぶどうの収穫や醸造作業が忙しい季節です。そんなワインづくりが始まる時期にオーストリアで出回る、期間限定の非常に珍しいワインがあることをご存じでしょうか?
本記事では、秋限定の珍しいワインである“シュトゥルム”について紹介します。
シュトゥルムはオーストリアの秋の風物詩
シュトゥルムはオーストリアの秋の風物詩として、現地で愛されている季節限定の珍しいワインです。
シュトゥルムは、ワイナリーのぶどう収穫が始まる秋ごろにオーストリアの街角やスーパー、レストランで提供されるようになります。
秋の季節にしか飲めない季節限定のお酒なので、オーストリア在住の方はシュトゥルムの看板やメニューを街で見かけるようになると秋の訪れを感じるそうですよ。
シュトゥルムは発酵中のワイン
オーストリアの秋の風物詩で、限られた期間しか飲めないお酒「シュトゥルム」。
いったいどんなワインなのかというと、実は発酵中のワインのことなのです。未完成のワインなので、いわばワインの赤ちゃんと表現するのがよいでしょうか。
果汁が完全に発酵していない状態で販売されるため、時間の経過とともにアルコール度数が高まり普通のワインになってしまいます。
そのためシュトゥルムは、秋の限られた時期にしか飲めない季節限定のワインなのです。
アルコールが含まれるれっきとしたお酒ですが、発酵途中のため糖分が残りジュースみたいなニュアンスも感じられます。
シュトゥルムの意味は『嵐』
未完成のワインであるシュトゥルム(Sturm)は、ドイツ語で「嵐」という意味です。
シュトゥルムは酵母が入った状態で提供されるため、白く濁った色をしています。
白濁した様子が嵐のような見た目であることや、酵母が含まれるためお腹の中で発酵するイメージからシュトゥルムと名付けられました。
シュトゥルムの特徴
未完成のワインを楽しむシュトゥルム。日本では見かけないので、「どんなワインなのか想像できない」という方も多いのではないでしょうか?
ここでは、シュトゥルムの特徴を詳しく解説していきます。
【シュトゥルムの特徴①】味わい
シュトゥルムは、糖分がアルコール発酵を完了させる前に提供されるワインです。ワイン内に糖分が残っており、甘みのある味わいに仕上がります。
ぶどうジュースとワインの中間のような、飲みやすい味わいが魅力的です。発泡性のお酒で、まるで大人のぶどうスカッシュのような特別感のあるワインです。
また、酵母がワインの中に残っているので、イーストのようなニュアンスやふくよかさも感じられます。
【シュトゥルムの特徴②】アルコール度数は3~6%
シュトゥルムはワインの発酵途中の段階で提供されるため、通常のワインと比べて低アルコールなのも魅力です。
提供時の一般的なアルコール度数は3~6%程度で、時間の経過とともに度数は高くなります。通常のワインと同様のアルコール度数となってしまうと、シュトゥルムとしての魅力や味わいが無くなるので早めに飲まなければいけません。
シュトゥルムは、低アルコールで飲みやすいワインなので、お酒が弱い方にもおすすめです。飲みやすいからと飲みすぎてしまわないよう注意してくださいね!
【シュトゥルムの特徴③】ジュースとワインの中間を楽しめる
シュトゥルムはワインとジュースの中間を楽しめるところも魅力的です。甘酸っぱいぶどうジュースのような味わいが主体で、ほんのりとアルコール感や酵母のニュアンスが感じられます。
アルコールや酵母のニュアンスがあるため、ジュースでは感じられない複雑味やコクを感じられます。
秋の季節限定の大人のぶどうジュースといった感じでしょうか。機会があれば、ぜひ飲んでみたいものですね。
【シュトゥルムの特徴④】濁りがある
シュトゥルムは酵母や澱が含まれているため、無濾過ワインのような濁りがあるのが特徴です。酵母や澱が残るので未完成のワインであるにもかかわらず、本格的な味わいが感じられます。
酵母の旨味と甘みが調和した、バランスのよい味わいに虜になること間違いなし!無濾過ワインのニュアンスが好きな方にも、ぜひ一度試していただきたいワインです。
シュトゥルムは白が主流!赤やロゼは存在するのか
シュトゥルムは白が主流で、白ぶどうやりんごのような華やかな果実味が魅力的です。オーストリアは白ワインの生産が盛んなので、自然とシュトゥルムも白が主流になるのもうなずけます。
しかしながら、赤やロゼのシュトゥルムも存在します。赤やロゼのシュトゥルムは生産量が少なく、希少なので見かけたらぜひ飲んでみてください。
シュトゥルムの販売時期
秋の風物詩であるシュトゥルムは、オーストリアの法律上で販売が許される時期が定められています。
【販売時期】
8月1日~12月31日の間
シュトゥルムは、一般的に9月上旬から10月下旬に販売されています。12月31日まで発売許可されているものの、11月以降は街でシュトゥルムを探すのは苦労するかもしれません。
シュトゥルムを目当てにオーストリアに行くなら、9月~10月の期間に訪れるとよいでしょう。
もちろん、11月以降も提供しているお店はあるので、訪問時期がずれた場合も根気よく探してみてください!
シュトゥルムはどこで飲める?
オーストリアを訪れる際には、ぜひシュトゥルムを飲みたいものです。ここではシュトゥルムがどのような場所で飲めるのか、解説していきます。
ホイリゲ
シュトゥルムを提供する場所として定番なのがホイリゲ。
ホイリゲとはオーストリアのワイン農家が経営する居酒屋です。ワイナリーに併設する飲み屋のようなイメージですね。
秋になるとホイリゲで造りたてのシュトゥルムを、オーストリアの家庭料理とともにペアリングできます。
ワイナリー併設の居酒屋で飲むシュトゥルムは格別な味わい!野外で楽しめるホイリゲもありますので、ぶどう畑を眺めながらシュトゥルムを楽しむのも素敵です。
レストラン
オーストリアの現地のレストランでも、秋になるとシュトゥルムが提供されます。レストランでシュトゥルムを探す場合は、オーストリアの家庭料理を提供している店を狙うとよいでしょう。
店先に「Sturm」の看板や黒板が出ている場合もあります。シュトゥルムの看板を探しながら街を散策してみるのもよいですね。
ワイナリーに行かず街中でも気軽にシュトゥルムを楽しめるのがうれしいポイントです。オーストリアでは気軽に楽しめるのも、シュトゥルムが秋の風物詩といわれる所以なのでしょう。
オーストリアのスーパー
シュトゥルムはオーストリアのスーパーでもボトルで販売されています。ボトルに栓はせずアルミホイルなどでゆるく蓋をしているだけの状態で売られているため、持ち帰りの際は注意が必要です。
宿泊先の近くのスーパーにシュトゥルムが売っている場合は、ホテルの自室などで楽しむのもいいですね!
シュトゥルムが輸出や機内持ち込みできない理由
オーストリアならシュトゥルムはスーパーでも購入可能です。しかし、輸出や機内持ち込みができないため、日本ではなかなか味わえません。
なぜシュトゥルムが輸出や持ち込みできないかというと、発酵中の発泡性ワインだからです。密閉をすると瓶破損の恐れがあり、アルミホイルで軽く蓋をして販売されています。
つまり密閉状態で持ち運びできないため、輸出や機内持ち込みができないのです。現地で購入して滞在先などで楽しむ分には問題ないので、見つけたら購入して飲んでみてはいかがでしょうか?
日本でシュトゥルムワインが飲みたい!手に入れる方法は?
輸出や機内持ち込みが難しいうえに季節限定のシュトゥルムは、ワイン愛好家の方でもなかなか飲めない珍しいワインです。
「なんとかして日本で飲める方法はないのか」と思った方も多いのではないでしょうか?
実は、日本でも秋になるとシュトゥルムを販売するワイナリーがあります。まだメジャーではないため提供しているワイナリーは少ないですが、日本でも飲めるのは嬉しいですね。
「飲んでみたい!」という方は、国内でシュトゥルムを提供しているワイナリーを探してみてはいかがでしょうか。
お酒を飲めない方には『トラウベンモスト』がおすすめ
車の運転や妊娠・授乳期間中でお酒が飲めない方には『トラウベンモスト』がおすすめです。
トラウベンモストはオーストリアのノンアルコールワインで、ワインにする前のぶどうジュースを瓶詰めしています。
つまりトラウベンモストは、ワインのような風味を楽しめる大人のぶどうジュースなのです。一緒に雰囲気だけでも楽しみたい方にはぴったりですね。
また、嬉しいことにトラウベンモストは、日本でも販売されています。
スーパーやワインショップ、通販で購入できるので、ぜひチェックしてみてください。
低アルコールのワイン『パープルフレイム』
日本ではなかなか手に入らない、シュトゥルム。低アルコールで飲みやすく、ユニークなワインなだけに「ちょっと残念だな」と思う方も多いのではないでしょうか?
そんな方に低アルコールで飲みやすいワインとしておすすめなのが、『パープルフレイム』。マスカットを使用した甘口の白ワインで、紫色の色調をしている不思議なワインです。
この紫の色調は抗酸化作用のあるチョウマメの植物由来のものです。酸化防止剤の代わりにチョウマメを使用した結果、チョウマメの色素がワインを染めて美しい紫色になりました。
アルコール度数は6.5%と通常のワインの半分程度なので、お酒が弱い方にも飲みやすくおすすめですよ。
おわりに
オーストリアの秋の風物詩シュトゥルム。秋のオーストリアを訪問の際は、ぜひ探して飲んでみてください。
また、日本での生産は少ないためなかなか飲む機会が無いですが、日本のワイナリー訪問で飲むチャンスが訪れるかもしれません。気になった方は、ぜひチェックしてみてくださいね。