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シュール・リー製法のワインの特徴とは?香りや味わいの魅力をご紹介
シュール・リー製法のワインにはどんな特徴があるのでしょうか。香りや味わいの魅力を知ることで、ワインの奥深さをよりいっそう感じられるはずです。
本記事では、シュール・リー製法のワインの特徴と魅力をご紹介します。おすすめワインも紹介しますので、新たなおいしいワインとの出会いの参考にしてください。
シュール・リーは白ワインの醸造方法
シュール・リー製法はフランスのロワール地方が発祥で、日本を含めて世界的に利用されている醸造方法です。
シュール・リー(sur lie)とは、主に白ワインの醸造における手法の一つを指します。フランス語で「澱の上に」を意味しており、発酵後に澱引きをせずそのまま熟成させる製法です。
澱と一緒に熟成させると、澱が自己消化してアミノ酸や多糖類などに変わり、ワインに旨みが溶け込むメリットがあります。
シュール・リー製法が用いられている産地
シュール・リー製法が最も有名な産地は、フランスのロワール地方の都市ナントです。ほかにもアメリカのカリフォルニア、日本では山梨県で行われています。
また近年では、フランスのシャンパーニュやブルゴーニュ地方でもシュール・リー製法を取り入れている生産者が多いようです。熟成後の香りに複雑性が出るため、世界各国に広まっています。
シュール・リー製法に使われるブドウの品種
フランスのロワール地方ナントでは、ミュスカデ種を使用してシュール・リー製法を行っています。ミュスカデは「ブルゴーニュのメロン」と呼ばれており、メロンのような香りが特徴です。
また日本の山梨県では、固有の白ぶどう品種である「甲州」、カリフォルニアでは「シャルドネ」がシュール・リー製法に使われる代表的な品種です。
シュール・リー製法が用いられたワインの4つの特徴
シュール・リー製法で造られたワインは、通常の醸造方法で造られたワインとは大きな違いがあります。澱引きをせずに熟成させることで、酵母がワインの成分に影響を与えるためです。
ワインを構成する全ての要素に特徴があるといえます。
- ワインの成分
- 色
- 香り
- 味わい
具体的に解説します。
特徴①ワインの成分
シュール・リー製法では澱引きをしないため、残された酵母からアミノ酸やマンノプロテインなどの多糖類が発生します。発生した多糖類によって、ワインの成分に影響を与えているのです。
また多糖類がワインに溶け込むことで、クリーミーな質感と旨味も与えています。さらには、澱引きをしたワインに比べてポリフェノール量が減少している点も特徴です。
特徴②色
シュール・リー製法で造られたワインは、淡い色合いになります。酵母から発生した多糖類によって、褐色化の原因となるポリフェノールが減少するためです。
とくに甲州はもともとの色が淡いため、ほぼ緑色になります。
特徴③香り
シュール・リー製法が用いられたワインは、爽やかでフレッシュな香りが特徴です。
本来ワインが澱と接触しつづけていると、還元臭が発生します。ただしシュール・リー製法の中で澱を攪拌(かくはん)する工程があるため、ワインの中の還元性イオウ化合物が還元臭を発生させません。
また澱に残った酵母によって、樽由来の香気成分をアルコールに代謝します。木の香りが抑えられて還元臭も発生しないため、爽やかでフレッシュな香りになるのです。
特徴④味わい
酵母から発生したアミノ酸は旨味成分を溶け込ませる作用があり、コクのある深い味わいのワインができあがります。
またポリフェノールの一種であるタンニンがもたらす収斂味が少なく、爽やかな飲み心地になるのも特徴です。
爽やかながらもクリーミーで深みのある味わいが、シュール・リー製法で造られたワインの最大の魅力といえます。
おすすめのシュール・リー製法で造られたワイン5選
実際にシュール・リー製法で造られたおすすめのワインを紹介します。
初めてシュール・リーのワインを飲む方は、まずは有名どころを押さえておきましょう。
ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リー 2022
ワインコンクールのジルベール・エ・ガイヤールで11年連続金賞を受賞している白ワインです。奥行きのある味わいと、弾けるような酸味を堪能できます。
高品質白ワインの土壌で作られたこだわりのミュスカデを使用し、ゆっくりと丁寧に醸造。ただの軽やかなミュスカデではない、抜きんでたシュール・リーワインといえるでしょう。
ルバイヤート 甲州シュール・リー 2021
明治23年創業の勝沼でも、屈指の老舗ワイナリーである丸藤葡萄酒工房が手掛けた白ワインです。
シュール・リーした状態で約5ヵ月間熟成させ、より辛口な溌剌とした香りと厚みのある味わいを実現。あまり濾過をせず、香りを残すように醸造しています。
また和食に合うワインをテーマに製造されており、お寿司や京料理にも合うと評判です。
ミュスカデ・ド・セーヴル・エ・メーヌ シュール・リー【コレクション・タイユヴァン】
パリで30年以上にも渡り3つ星を守り続けてきた、名実ともにフランス最高峰のレストラン「ル・タイユヴァン」。飲み頃にこだわり時間と手間をかけて、丁寧に熟成させたのがセレクション・タイユヴァンのワインです。
ミュスカデ特有の果実味と柑橘系の香り、豊かなボディと滋味深く複雑な味わいが広がります。ほのかな塩気もあるため、上質な余韻も堪能できるシュール・リーワインです。
丹波鳥居野 ピノ・ブラン シュール・リー
自社農園産のピノ・ブランを100%使用した白ワインです。ピノ・ブランは日本ではあまり栽培されていない品種で、柑橘系の香りやハツラツとした酸味があります。
穏やかな酸味と洗練された味わいで、京料理などの和食にピッタリ。ピノ・ブランを使用してシュール・リー製法することで、ロースト香を思わせる樽香も加わっています。
ハラモ 甲州 シュール・リー
原茂ワインが甲州を使用して手掛けたシュール・リーワインです。
白い花やトロピカルフルーツを連想させる複雑で厚みのあるアロマと、熟成感がある豊かな果実味が口内に広がります。果実味の中にほのかに日本酒に似た旨味が感じられ、和食との相性がいいと評判です。
ハラモ 甲州 シュール・リーシリーズの2009年ヴィンテージは、第13回ジャパンワインチャレンジで最優秀日本ワイン賞・最優秀甲州ワイン賞のダブル受賞をしています。
まとめ
シュール・リーはワインの醸造方法の一つで、澱引きをしない製法のことです。
澱引きをしないことで、残った酵母が旨味成分を発生させたりポリフェノールを減少させたりする効果があります。また爽やかでフレッシュな香りも特徴的です。
品種はフランスのミュスカデが有名ですが、国内でも甲州のシュール・リーワインが製造されています。シュール・リーワインを飲んで、ワインの新たな魅力に酔いしれましょう!