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ワイン用のぶどうは食べられる?食用ぶどうとの違いや品種の特徴を紹介
「ワイン用と食用のぶどうは何が違うんだろう」「ワイン用のぶどうは食べられるのかな」と疑問に思ったことはありませんか?
本記事では、ワイン用のぶどうと食用のぶどうの違いや特徴を解説します。
ワイン用のぶどうは食べておいしい?食用ぶどうとの違い
ワイン用ぶどう品種は、食用でも問題なく食べられます。シャルドネをはじめとした有名ぶどう品種は、お菓子などに使用されているケースも多いです。
しかし、ワイン用ぶどうは、やはり“食べる”という観点では食用に劣ります。また、食用ぶどうも”ワインを造る”という点ではワイン用ぶどうにはかないません。
それでは、食用ぶどうとワイン用ぶどうは、どのような違いがあるのでしょうか?
糖度
意外かもしれませんが、実はワイン用ぶどうのほうが食用よりも糖度が高いものが多いです。
ワインを造るときにはぶどうの糖度を使ってアルコール発酵させるので、高い糖度が必要になります。つまり、ワイン用ぶどうこそ高い糖度が必要なのです。
- ワイン用ぶどう:20.0~25.0度
- 食用ぶどう:17.0~22.0度
- イチゴ:8.0~15.0度
- モモ:12.0~17.0度
「糖度が高いならワイン用ぶどうのほうが甘くておいしいのでは?」という声も聞こえてきそうですね。
ワイン用のぶどうよりも食用ぶどうのほうがおいしく感じる理由は、後述してまいります。
酸味
ワインにとって、酸は味わいのバランスを調整するために必要不可欠な存在です。酸味を比べると、食用ぶどうよりもワイン用ぶどうのほうが酸が高い傾向にあります。
酸味が糖分と中和されるので甘みが感じとりにくくなるため、糖度が高いワイン用ぶどうが、食用ぶどうよりも甘く感じなくなってしまうのです。
つまり、ワイン用ぶどうを食べると「酸っぱい」と感じてしまうため、食用ぶどうのほうが「甘くておいしいぶどう」ということになります。
粒の大きさ
巨峰やマスカットをはじめとした食用ぶどうは大粒なものが多く、ジューシーな果実味が魅力的です。
いっぽうでワイン用ぶどう品種は、小粒なものが望ましいとされています。ワイン用ぶどうは小粒で皮の存在感が強いので、食べるという観点では食用に劣ってしまうのです。
果皮の厚み
食用ぶどうは皮の厚みが薄く、品種によっては皮ごと食べられるものもあります。いっぽうで、ワイン用ぶどうは、皮が厚いほうがよいとされています。
ぶどうの皮から抽出される成分は、ワインを造るうえで重要です。ぶどうの皮にはワインの骨格を形成する渋み成分や、アルコール発酵するのに必要不可欠な酵母が含まれています。
ぶどうの皮は食べるときは邪魔ですが、ワイン造りにおいては非常に重要な役割を持つのです。
食用ぶどうがワインに使われることもある
実は食用ぶどうを使用したワインも存在します。
昔はワイン造りにおいて食用ぶどうは歓迎されませんでしたが、食用ぶどう特有の甘くフルーティーな個性が見直されるようになりました。
とくに日本ではもともと食用ぶどう品種が多かったこともあり、積極的に食用ぶどうを使用したワインが造られています。
ワイン用ぶどうの代表品種と特徴
ワイン造りに適したワイン用ぶどう品種には、どのような種類があるのでしょうか?
ここでは、ワイン用ぶどう品種の中でも代表的な品種をご紹介します。
シャルドネ
シャルドネはワイン用ぶどう品種の中で、最も知名度が高いぶどう品種です。ワインをあまり飲まないという方も、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
シャルドネはワイン用ぶどう品種でありながらも、市販のお菓子に果汁が使用されるほど世界的に愛されています。
シャルドネを使用したワインは、癖がなく飲みやすいところが魅力的。また栽培する土地の気候によって味わいが変化するので、栽培地ごとにワインの個性が異なるという興味深さも人気の秘密です。
ソーヴィニヨン・ブラン
ソーヴィニヨン・ブランは、豊かな酸と爽やかなハーブのアロマが特徴です。フレッシュで清涼感のあるワインに仕上がり、食事とも合わせやすいフードライクさが魅力的。
もともとはフランス・ボルドー地方原産のぶどう品種でしたが、温暖な気候でよく育つぶどう品種なので、現在はチリやアルゼンチン、ニュージーランドなど世界各国で栽培されています。
カベルネ・ソーヴィニヨン
カベルネ・ソーヴィニヨンは、フルボディタイプの赤ワインの定番ぶどう品種です。渋みと果実味が強く濃厚な味わいは、世界各国のフルボディ好きのワイン愛好家を魅了しています。
ブラックベリーやカシスを思わせる鮮やかな果実味と、メンソ―ルタバコやドライハーブの様な清涼感のあるワインは一度飲むと癖になってしまう方が続出する人気のぶどう品種です。
メルロー
メルローで造るワインは、まろやかな果実味と穏やかなタンニンが特徴で飲みやすいです。
癖がないため単一品種で造られるのはもちろんのこと、複数のぶどうを混ぜるブレンドワインを造る場合にも重宝されています。
親しみやすい味わいが人気が高い理由。渋みや癖がなく飲みやすいため、初心者の方にもおすすめです。
ワインにも使われる!食用ぶどうの代表品種と特徴
食用ぶどうながらも、ワイン造りでも人気の高いぶどう品種を紹介します。
「食べたことがあるけれど、ワインは飲んだことない」という方は、食用ぶどうを使ったワインを試してみてはいかがでしょうか。
デラウェア
デラウェアは小粒の甘みが強いぶどう品種で、スーパーでもよく見かけます。
デラウェアは華やかで濃厚な果実味が特徴的。アロマティックかつフルーティーなワインに仕上がります。
もともとはアメリカ原産のぶどう品種ですが日本でも栽培量が多く、日本ワインの定番ぶどう品種です。
デラウェアの果皮は赤紫色ですが、造られるのは赤ワインではなく白ワインが多いです。味わいは甘口から辛口まで幅広く造られています。
巨峰
巨峰もデラウェアと同様に、スーパーでよく見かける身近なぶどうです。大粒で濃厚な甘みが魅力のぶどう品種ですが、和食と相性抜群のさっぱりとしたワインが多く造られます。
ぶどうキャンディーのような甘く華やかな香りとは裏腹に、味わいはキリっとして飲みやすくワイン初心者の方にもおすすめ。
アロマティックなワインが好きな方は、ぜひ巨峰ワインを試してみてください!
スチューベン
スチューベンはデラウェアや巨峰に比べると知名度は低いですが、青森県で多く栽培されており最近では全国のスーパーで姿を見かけるようになりました。
スチューベンは糖度が20度と高いうえ適度な酸もあるため、食用ながらも日本ワインの定番品種として使用されています。
いちごやラズベリーの様な甘いアロマが特徴的で、味わいはキリっとしています。華やかさと爽やかさが混ざりあう絶妙なバランスは、一度飲むと虜になること間違いありません。
日本ではワイン用としても人気の高いぶどう品種なので、赤やロゼ、スパークリングワインとさまざまなタイプのスチューベンワインが造られています。
おわりに
食用ぶどうとワイン用ぶどうは求められるぶどうの条件が異なります。ワイン用ぶどうは食べられるものの、「おいしく食べる」という観点ではどうしても食用ぶどうにはかないません。
また、近年では食用ぶどうのワインも注目されており、日本では積極的に造られています。
機会があれば実際にワイン用ぶどうを食べたり、食用ぶどうのワインを飲んだりしてみてください!新しい発見が得られるはずですよ。