白ワインを選ぶ際に、どの国のワインを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。白ワインは産地によって香りや風味など独自の特徴があり、選ぶのは大変難しいです。
今回は、白ワインの世界的に有名な産地について紹介します。最後まで読めば「どこのワインが私には合う?」「あの人にピッタリのワインはどれ?」といった疑問が解消されるはずです。
地域によって白ワインの個性が出るのはなぜ?
産地によって白ワインに違いがでる理由は、主に2つあります。
1つ目の理由は、原材料となるぶどうの品種が違うからです。栽培する地域によって土壌や気候条件が異なるため、ぶどう自体に違いがでます。
当然ワインの味の違いにも大きく影響するので、ぶどうの品種の違いで白ワインの個性が決まるともいえるでしょう。
2つ目の理由は、ワインの醸造法が異なるからです。地域ごとに醸造技術や伝統も異なるため、ワインの製造プロセスやスタイルにも違いが現れます。
これら2つの要素が複合的に絡み合うことで、地域ごとに個性豊かな白ワインが生まれます。
世界の産地別白ワインの特徴
世界的に有名な白ワインの産地を紹介します。特徴や味わいの違いを比較してみましょう。
高級ワインといえばフランス
フランスはワインのメッカとして知られており、厳格な品質管理と伝統的な醸造技術で世界に誇る素晴らしいワインが生み出されています。
深みのある味わいや洗練された香りが特徴で、「ワインといえばフランス」と言っても過言ではありません。
なかでもブルゴーニュは、高級白ワインの産地として世界的に知られています。
知名度も評価も断トツで、品質と風味においてブルゴーニュのワインはまさに高級ワインの頂点。しかしフランスには他にも有名な白ワイン産地がたくさんあります。
ブルゴーニュ地方に並ぶ白ワインの有名産地は、アルザスやロワール地方といったフランス北部に集中しています。どちらの産地も冷涼な気候からくる、酸が綺麗で華やかな白ワインが魅力的です。
実は白ワインの名産地ドイツ
ドイツは甘口の白ワインが世界的に有名です。特に、リースリングという繊細な甘みをもつ品種を使用した甘口の白ワインが高く評価されています。
白ワインの味わいに大きく影響しているのは、ドイツの栽培環境です。ドイツは寒冷な気候なので、ぶどうに鮮やかな酸味や豊かな香りをもたらします。
評価が高い理由は、その環境のおかげで芳醇な香りと甘さ酸味のバランスのよい上級の白ワインができるためです。
豊かな果実味が特徴のチリ
チリは温暖な気候と日照時間の長い地域です。これによりぶどうは十分に成熟し、豊かな果実味と甘みをもったワインが生まれます。
またチリは太平洋に面しているため、海洋から涼しい風が吹きます。この風がぶどう畑を通り抜けることで、ワインに爽やかさやミネラル感があるのも特徴です。
フランス産やドイツ産とは違った、フレッシュでフルーティーな味わいや香りが世界的に高く評価されています。
オーストラリアワインは多様性が自慢
オーストラリアは広大な国土をもち、気候や土壌が多様です。そのため、さまざまな品種のぶどうを栽培することができます。結果としてオーストラリアでは多様な味わいのワインが生み出されています。
オーストラリアの白ワイン用ぶどう品種のなかで、断トツの生産量を誇るのが「シャルドネ」です。
同じシャルドネでもオーストラリアのどの地域で栽培するかによって味わいは異なります。温暖なエリアでは濃縮されたフルーティーな味わい、比較的冷涼なエリアではフレッシュな味わいが特徴的です。
世界が繊細さを評価した日本
日本の清酒造りの技術を応用した独自の製法や、日本固有のぶどう品種を使用したワインが世界的に注目を集めています。その繊細で洗練された味わい香りは、フルーティーで穏やかな味わいが特徴です。
また同じ日本のなかでも、地域によって味わいは異なります。例えば山梨県産のぶどうの品種甲州から造られる白ワインは、すっきりしたフルーティーな味わいです。
一方で北海道産のワインにはヨーロッパのぶどう品種が多く使用されており、本格的なワインの味わいを楽しめます。
2つの個性をもつイタリア
南北に縦長に広がるイタリアは、地域により味わいや特徴が異なります。
北イタリアの白ワインは冷涼な産地のため、透明感のある酸が特徴的です。ほどよい酸と青りんごやマスカットを想わせる穏やかな果実味が感じられる、清涼感のあるワインに仕上がります。
また北イタリアではアロマティックなぶどう品種も多く栽培しており、柔らかな甘みが魅力的なモスカート(=マスカット)を使った甘口白ワインも人気です。
一方で南イタリアでは、ミネラル豊富な塩味のある白ワインが特徴的。これは南イタリアが海に囲まれた沿岸地域にワイン畑が広がるため、海の影響を受けているのです。
そのため塩とレモンをかけ合わせたようなキレのある辛口白ワインが多く、南イタリアの白ワインはシーフードと相性抜群です。
濃厚なワインならアメリカ
アメリカの白ワインは樽を用いた、濃厚でリッチな味わいのシャルドネが有名。パイナップルや黄桃のようなジューシーな果実味に、バターやナッツを想わせるアロマが香るリッチな白ワインが人気です。
フルボディで飲みごたえ抜群のアメリカのシャルドネは、グラタンやバターソテーなどの乳製品を使用した濃厚な料理とよく合います。
アメリカでは濃厚な味わいの白ワインが王道ですが、最近では向上心の高い生産者によりこれまでと異なるスタイルのワインが造られています。
たとえばソーヴィニヨン・ブランやリースリングを使用した爽やかな味わいの辛口白ワインや、ブルゴーニュを彷彿とさせるエレガントな白ワインも増えています。
ワインの味わいに多様性が生まれたことで、濃厚な味わいアメリカワインが苦手だった方もアメリカワインを評価するようになりました。
多様な土着品種ぶどうを使いこなす個性派のスペイン
スペインワインは土着品種のぶどうを使ったワインが多く、個性的で味わいの幅が広いところが特徴です。
スペインには約150種類もの土着品種があり、ワインのプロでもぶどう品種をみて「聞いたことない」と思うようなマイナー品種まで栽培しています。定番の白ワイン用のぶどう品種を一部だけ紹介します。
- アイレン
- マカベオ
- ヴェルデホ
- アルバリーニョ
知っているぶどう品種はありましたか?すべての品種を知っていれば、ワインになかなか詳しいと言えるでしょう。
スペインでは個性的な土着品種のぶどうを使いこなし、濃厚でコクのあるフルボディや爽やかな辛口、酒精強化ワインまで幅広いタイプのワインを造っています。
ソーヴィニョン・ブランの名手・ニュージーランド
ニュージーランドはワイン用ぶどうの収穫量の70%が、なんとソーヴィニヨン・ブラン!そのためニュージーランドといえば、ソーヴィニヨン・ブランが有名です。
同じ品種といっても産地や生産者により、味わいがまったく異なります。
「右に出るものはいない」というほどソーヴィニヨン・ブランの扱いに長けているのが、ニュージーランド最大の特徴といえるでしょう。
ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランを何本か購入し飲み比べしても面白いですよ!
好みのワインを産地で選ぶコツを紹介
ここまでは白ワインの有名産地の特徴を紹介しました。しかし一度に理解することは難しいですよね?
つぎは好みのワインを選ぶには、どの産地のワインを選べばいいのか判断するコツを紹介します。
辛口白ワイン好きな方は冷涼な産地を選ぶ
冷涼な産地では、基本的に酸度の高い辛口白ワインの生産が多くなります。辛口白ワインが好きな方におすすめの冷涼なワイン産地は下記のとおりです。
- フランス・シャブリ地方
- フランス・アルザス地方
- ドイツ
冷涼な産地で育ったぶどうは熟度が上がらないため、糖度が低く酸が強くなります。
そのため冷涼な産地で育ったぶどうを使用したワインは、レモンやライムのような柑橘を想わせる爽やかな味わいに仕上がるのです。
キリっとした爽快感のある辛口白ワインが好きな方は、冷涼な産地のワインを選ぶようにしましょう。
濃厚な味わいが好きな方は温暖な産地を選ぶ
濃厚な味わいや華やかなタイプのワインが好きな方は、温暖な産地のワインを積極的に選ぶとよいでしょう。濃厚なワインが好きな方におすすめする、温暖なワイン産地は下記のとおりです。
- スペイン
- アメリカ・カリフォルニア州
- チリ
冷涼な産地とは逆で温暖産地では、甘くて果実味の強いジューシーなぶどうが栽培できます。そのためワインも桃やりんご、トロピカルフルーツのような濃厚な果実味が際立つのです。
暖かい気候で育ったぶどうは糖度が高くフルーティーな味わいになるため、濃厚な味わいが好きな方は温暖な産地のワインを選びましょう。
これだけは飲んで欲しい!有名産地のおすすめ白ワイン10選
白ワインの有名産地のワインを初めて飲む方も産地のイメージが理解できるように、有名銘柄をピックアップして紹介しています。
まだ飲んだことのない産地のワインがあれば、ぜひ挑戦してみてくださいね!
ブルゴーニュ シャルドネ|アンリ・ドゥ・バレイル
フランスの白ワインを飲むなら最初に試したい銘柄は、やはりブルゴーニュ地方のシャルドネです。
近年ブルゴーニュ地方のワインは高騰していますが、アンリ・ドゥ・バレイルの『ブルゴーニュ シャルドネ』はリーズナブルな価格帯で本格的な白ワインを楽しめます。
グレープフルーツのような穏やかな酸と果実味、木樽由来のアーモンドを想わせる香ばしいアロマが調和したエレガントな1本です。
リースリング レゼルヴ|トリンバック
フランスの冷涼な産地のなかでも、高品質な白ワインを産出することで名高いアルザス地方。キリっとした味わいのワインが好きな方は、ぜひ一度は試したい辛口白ワインの銘醸地です。
なかでもトリンバックという生産者は非常に有名で、テーブルワインから高級ワインまで幅広く手掛ける超実力派。
『リースリング レゼルヴ』は力強い酸が特徴的で、レモンやハーブの爽やかなアロマが楽しめます。
実は生産者の方は日本愛が強く、トリンバックのワインと日本食は相性抜群だと太鼓判を押しています。天ぷらや寿司、肉じゃがなどの和食全般と相性抜群で、日本の食卓に馴染むところも魅力的です。
ソアーヴェ|ジャンニテッサーリ
北イタリアのヴェネト州では、『ソアーヴェ』という爽やかな白ワインを造っています。ソアーヴェはフランス語で”心地よい”という意味で、穏やかな酸とフレッシュさが魅力的な白ワインです。
グレープフルーツのような心地よい酸と、白い花を想わせるフローラルな香りはなんとも上品。特に野菜や魚介類との相性がよいので、チキンサラダやホタテのマリネなどの前菜料理と合わせてどうぞ!
リースリング & ゲヴェルツトラミネール |フリードリッヒ・ベッカー
『リースリング & ゲヴェルツトラミネール』は、ドイツで人気のぶどう品種であるリースリングとゲヴェルツトラミネールをブレンドした贅沢な1本です。
ゲヴェルツトラミネール特有のライチや白桃のような濃い果実のアロマがありながら、リースリング特有のすっきりとした酸も感じられます。
ほんのり甘みがありワイン初心者でも飲みやすいうえ、綺麗な酸があり甘すぎないのでワイン上級の方も満足できる万人受けするワインです。
ライチのようなエキゾチックな香りがあるので、中華やエスニック料理とも相性抜群ですよ!
パソ ダス ブルーシャス|トーレス
『パソ ダス ブルーシャス』は、スペインの土着品種であるアルバリーニョというぶどう品種で仕立てた白ワインです。
リアスバイシャスという海に近い産地で育てられたぶどうを使用しており、ワインにも潮風や海藻のような海のニュアンスが感じられます。
穏やかな酸とグレープフルーツのピールのようなほろ苦い味わいと塩味があり、特徴的な味わいが癖になる個性的な白ワインです。
柑橘やハーブ、潮風のような複雑なアロマは、まるで海に来たかのような開放感があります。魚介類と相性抜群なので、刺身や白身魚の天ぷら、魚介のアヒージョなどと合わせてどうぞ!
ワインメーカーズノート セミヨン ソーヴィニヨン・ブラン バッチ102|アンドリュー・ピース
アンドリュー・ピースはオーストラリアの「輸出業者トップ20」の常連で、数多くの賞を受賞しているオーストラリアを代表する生産者です。
『ワインメーカーズノート セミヨン ソーヴィニヨン・ブラン バッチ102』は個性が真逆のぶどうをブレンドし、濃厚さと爽やかさの両方の魅力を引き出したバランスのよい味わいが魅力です。
マンゴーやパッションフルーツを想わせる濃厚な果実味を、シャープな酸とハーブのようなアロマが引き締め綺麗に調和しています。
スモーキング・ルーン シャルドネ|ドン・セバスチャーニ&サンズ
『スモーキング・ルーン シャルドネ』は気取ってワインを飲むことを嫌う人に向けて、「もっとカジュアルにワインを楽しんで欲しい」という想いから造られました。
“Loon(ルーン)”はバカ騒ぎという意味で、その名の通りワインは気兼ねなくワイワイ楽しめる親しみやすい味わいです。
オレンジや桃を想わせる鮮やかな果実味を主体に、しっかりと樽をきかせた香ばしい風味が感じられるフルボディタイプの白ワインに仕上がっています。
木樽由来のナッツやバターのアロマが特徴的なので、バターたっぷりのパイやクリームコロッケなどの乳製品を使用した料理と相性抜群です!
モンテス アルファ シャルドネ|モンテス
“世界最高峰のチリワインを造る”という理念を掲げ、世界各国にワインを輸出しているモンテス。チリワインの魅力を世界に知らしめた立て役者です。
モンテスのワインはチリワインらしい親しみやすさが魅力で、温暖な気候からくる濃厚でリッチな味わいのワインが多いです。
特に『モンテス アルファ シャルドネ』はモンテスのなかでも有名銘柄で、チリのシャルドネの特徴や魅力をうまく体現しています。
パイナップルや桃を想わせるジューシーな果実味が口いっぱいに広がったかと思えば、余韻にはリッチなバターのアロマが感じられます。
「白ワインは飲みごたえがない」と感じている方にぜひ飲んでいただきたい、フルボディの辛口白ワインです。
クヌンガ ヒル シャルドネ|ペンフォールズ
「オーストラリアで最も信頼されているワインブランド」というコンテストで、1位に輝いた”ペンフォールズ”。オーストラリアワインを飲むなら、まず飲んでおきたい王道ワインです。
トロピカルフルーツを想わせる濃厚な果実味と強いアロマが感じられ、飲みごたえがあります!余韻が長いため、ゆったりと楽しみたいワインタイムのお供にぴったりですよ。
ワイン愛好家からの評価が高いワインなので、ワイン通の方へのプレゼントにも喜ばれます。
萌黄|シャトー・メルシャン
日本の白ワインを飲むのであれば、甲州は外せません。
『萌黄』を手掛ける”シャトー・メルシャン”は、日本ワインの発展に貢献してきた老舗ワイナリー。シャトー・メルシャンのワインを飲まずして、日本ワインは語れないと言っても過言ではありません。
ライムや柚子のような凛とした酸が美しく、淑やかな白い小花を想わせるフローラルなアロマが香ります。かすかにバニラのような甘い香りがありますが、しつこくなく綺麗にまとまっています。
日本の美を体現したような上品ながらも存在感のある『萌黄』は、日本の気候風土が生み出した傑作ワインです。
まとめ
今回の記事では、世界各地の有名な白ワイン産地の特徴やおすすめワインを紹介しました。
産地によって風味や特徴に違いがあるので、自分の好みに合ったワインを見つけてみてください。